ここ数年、夏場は地球が壊れているのかと思うほど暑い日が続いています。
"地球温暖化"について私は肯定派でも否定派でもありませんが、気象庁のページを見ると日本の平均気温は年々上昇しており、熱帯夜や猛暑日は増えて冬日は少なくなっているのは確かのようです。
土舗装の基本と代表的なメーカー・商品
さて、本題に入りましょう。
この記事の主役である「土舗装」というのものは、真砂土(花崗岩が風化してできた砂状の土壌)などの土に砂やセメント、石灰、樹脂、ゼオライトなどを混ぜ込んだ舗装材のこと(土系舗装、真砂土舗装とも呼ばれる)。
今から20年以上前に山口県本社の龍陽興産株式会社が製造している「マサモルタル」が始まりで、その後たくさんの企業が後追いして今に至っていると聞きました。
土舗装材の有名どころは、マツモト産業の「マサファルト」、YBK工業の「ガンコマサ」、ECSテクノの「エコクリーンソイル」、山陽ロード工業の「ビゼンソイル」、松井文ショウ堂の「防草マサ」あたりでしょうか。
最初期は防草目的で中央分離帯に使われたり、公園や遊歩道の舗装などに使われていましたが、今ではガーデニングやDIYの一環として個人の庭等にも施工されています。
土舗装のメリット&デメリット
土舗装の特徴(メリット&デメリット)を書き出してみると…
特徴(メリット)
- 土がベースになっているのでコンクリやアスファルトに比べて温かみがあり、自然環境に調和しやすい。
- 色や保水性の関係からか路面温度の上昇を抑える効果が高い(=ヒートアイランド現象対策に有効)。
- コンクリート等に比べると踏んだ感じも柔らかく衝撃吸収性に優れている。
- 透水性がそこそこあるので水溜りができにくい。
- ある程度厚めに施工するとしっかり防草してくれる。
特徴(デメリット)
- 表面強度があまり優れていないので削れたり剥がれたりしやすい(土舗装の特長である粒感も経時で砂がほとんど剥がれる)。
- 強い衝撃や経時でひび割れができる。
- 常に水に曝されるような場所だと苔が生える。
- 業者が下手だととんでもない出来になる。
- 業者に頼むと値段が結構高い(㎡ 6000円くらい)。
私が思う土舗装についての簡単な特徴は上記のとおり。
施工後しばらくはきれいで期待通り
施工からしばらくの間は本当に美しいです。
きれいな薄茶色や適度な粒感等、高いお金(100万以上)を出して施工した甲斐があったと思わせてくれたものです。
透水性も良く、かなりの大雨でも水溜りが出来たことはあまりありません(我が家の水はけが良いこともあるが)。
真夏のカンカン照りの時に表面を触ってもそこまで熱くないので表面温度もかなり抑えられているのは確かですね。
防草効果についてもほとんど完璧で私は一度たりとも草取りをしたことがありません。
時間経過とともに見た目が悪くなってくる
ですが、時間の経過とともに舗装材の色が消えて白くなっていき(経年で舗装材に混ぜた顔料が流れてしまう)、さまざまなマイナスポイントも現れ始めます。
デメリットの項で書いた「ひび割れ」はこんな感じ。
施工してから1~2年で初めてひび割れを確認しましたが(とてもショックだった)、8年経った今では結構な数のひび割れがあります。
これに関しては業者からはあまり説明がありませんでしたが、膨張や収縮を考えるとある程度は仕方ないのかなと(それを想定して多めに目地を入れてもらったのだが効果は限定的だった)。
そのほか、セメントの含有量もひび割れに影響していると思います。含有量が多すぎればクラックが入りやすいし、少なすぎれば強度が不安。真砂土、セメント、固化材の配合率が各メーカーの製品の差なのでしょうね。
ただ、施工厚を5cmと厚めにとってもらったのでひび割れたところでも雑草が生える気配は全くありません。※施工厚は厚ければ厚いだけ良いというものでもありません。材料に水をしっかり浸透させるのは意外と難しく、それができなければ重要な下部が硬化不良を起こし全体が駄目になります。
次は「苔」。
室外機付近など水がたまりやすい場所には緑や黒の苔のようなものが生えます。
擦って洗浄すればある程度取れる気もするので今度試してみたいと思います。
私の感想をまとめると、機能的には8年経った今でも問題ないが、見た目はかなり悪くなっているといったところ。機能重視か見た目重視かで評価は大きく異なるでしょうね。私は機能面重視なので概ね満足しています。
もしこれから土舗装を試してみたいと思っている人は私の感想も参考にしてもらえれば。
施工業者選びは非常に重要
それからデメリットの項に少し書きましたが、業者に頼んでやってもらう場合は土舗装についての知識がきちんとあるところに頼むこと。
私はあらかじめメーカーに強度や有害物質、施工方法等を聞いた上で外構業者に頼んだのですが、最初の施工はとんでもなかった…。
転圧(下地や材料をしっかり締め固めること)は適当、セメントが配合されているタイプなのに金こてを使ったり、散水も叩きつけ等、もう無茶苦茶でした。
1日目の出来があまりに酷かったので全部やり直してもらいましたが、私が無知なら無茶苦茶な仕上がりで完了されていたことでしょう。
1日目の出来を具体的に書くと、材料が固まったり固まらなかったりムラがあって、下地との接地が悪く浮いており、金こてを使ったり散水の仕方が悪かったことで表面が白華(はっか:遊離石灰等が浮き出て白くなる現象)していました。
今では土舗装というジャンルがある程度確立されているので、こんな酷い施工をする業者は少なくなったと思いますがそれでも注意は必要です。
正しいやり方を簡単に説明すると、下地をしっかり整えて(完全に抜根し砕石を入れしっかり転圧する)、状況にあった施工厚(材料の厚み)で材料を敷き、木こてを使って表面を整え、散水は柔らかく材料の奥までしっかり浸透するようにといったところですね。
ただ、私が説明したのはプレミックスタイプ(固化材や土などが予め混和された袋タイプの商品)の製品であって、現場でミキシングするタイプは別のやり方になるかもしれません。
DIYでのおすすめ施工方法
最近は自分で土舗装材を買ってDIYする人も増えてきているようです。
自分でやる時でも基本は一緒。DIYだからといって手抜きをすればすぐにダメになってしまいます。
むしろ細部まで気を遣えば下手な業者がやるよりもきれいに仕上げられると思います。私は友人の家やお墓周辺など20回程度施工したがどれもきれいに仕上げることができましたから。
私がしている施工手順を以下に記載するので参考にしてもらえれば。
- 下地をしっかり整正する→雑草を根から抜いて材料の敷き厚を考慮して掘り、小さめの小石(砕石:1~2cmくらい)があれば撒いてしっかり転圧(重いもので上から叩く、タンパーがあれば最高)する。
- 施工厚を守って材料を敷均す→面積が広い時は水が流れていくように排水勾配をとるのを忘れずに。
- 材料を転圧する(一次転圧)→下地と材料がなじみやすくするのと強度に均一性を持たせるために転圧する。特に端部はしっかりと。
- 材料表面を整える→金こてを使わずに木こてやプラこてを使う。この工程を丁寧にしておくと表面がガタガタボコボコになりにくい。
- 刷毛引き→そのままでもよいが表面の粒が偏っているのでよりきれいにするために刷毛箒等で軽く引く。
- 一次散水→粒が小さいシャワー状の水を全体にまんべんなくかける。コツは水が浮いてきたら止めるを7~10分置きに2~3回繰り返すこと。散水が完了したと思ったらミニスコップ等で目立たないところを奥まで掘ってみて2/3以上水が染み込んでいたらOK。不十分なら追加散水。この工程を適当にすると硬化不良を起こしダメになるのでとても重要。
- 材料を転圧する(二次転圧)→散水が完了したらしばらく置いてから(夏場は20分くらい、冬場は30分くらい)材料を再度転圧する。
- 二次散水→全ての工程が完了したらシャワー状のやわらかい水を軽く撒く。
- 養生→乾燥しやすい夏場は翌日も軽く水を撒く。冬場で気温がかなり低かったり、雨が降りそうな時はブルーシート等を被せて守るように。
ここまで本格的に施工している人はあまりいないと思いますが、きっちり施工すれば仕上がりも持ちも全く違います。どうせ高い金を出してやるならきれいな方が良いと私は思います。
プロはこの手順をベースに一時転圧や二次転圧時に重めのローラーでしっかり転圧しているようです。きれいに長持ちさせるポイントは転圧の部分なのかもしれません。
市販土舗装材を選ぶ際の注意
市販の土舗装材を選ぶポイントは強度と製造日。
強度は、人が歩かないところなら特別気にする必要はありませんが、頻繁に足を踏み入れるようなところに施工するならそれなりの物を使いたいところ。圧縮強度20.0N/mm2、曲げ強度3.0N/mm2以上はほしいですね。
メーカーの中には通常商品より強度を上げた高強度商品を販売しているのでそちらがおすすめ。例を挙げるとマサファルトの高強度バージョンがパワーマサファルト、ガンコマサの高強度バージョンがスーパーガンコマサといった感じです。
それと製造日ですが、メーカー直ではなくネットモールなどで買う場合、保存状況や製造日が古いものに注意してください。
土舗装材の多くにはセメント・固化材が含まれており、湿気の多い場所で保管されたものや製造日があまりに古いものは固化が不十分になる可能性があります。
連絡が可能なお店ならあらかじめそのあたりを確認しておくと安心ですね。
以上、土舗装施工から長期間経過後の実態と感想やメリット・デメリット、おすすめのDIY施工方法でした。
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