「令和の米騒動」とも呼ばれる国産米の価格高騰。
以前は5kgで2,500円程度だった国産米が、今や4,500円を超える価格になってしまいました…。
そんな中、近くのドラッグストアで見つけたのが『パールライスのお米』という国産米。
なんと税込3,500円と、他の国産米より1,000円ほど安いではありませんか。これは買うしかないと思わず手に取ってしまいました。
店員さんに安さの理由を尋ねたところ「多分備蓄米です」とのこと。政府が放出した備蓄米がついに一般消費者の手に届くようになったのですね!
農林水産省の制度「備蓄米」とは?
「備蓄米(びちくまい)」は、正式には「政府備蓄米」と呼ばれるもので、凶作や不作時の流通安定のために日本国政府が食糧備蓄として保存している米のことです。
1995年に「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」が施行され制度が発足しました。
この制度が生まれた背景には1993年の記録的な米の不作があります。当時は「平成の米騒動」と呼ばれ、海外からの緊急輸入が行われた経験から備蓄制度が確立されたのです。
今回の備蓄米放出の背景
今回の「令和の米騒動」に対して農林水産省は2025年1月31日に政府が保有する備蓄米について、流通が目詰まりを起こしている場合にも放出できるよう運用指針を見直しました。
これまで不作や地震などの緊急時に限られていた放出条件を拡大し、流通不足でも放出できるようにしたのです。
この結果、政府が放出した備蓄米が店頭に並び始めています。主に複数の銘柄を混ぜた「ブレンド米」として陳列されており、既存の人気銘柄と比べると5キロ入りで1〜2割安い3,000円台半ばの値札がついているとのことです。
備蓄米はいつのお米?収穫時期と鮮度
政府備蓄米の運用では毎年約20万トンの米を買い入れ、5年程度で全体の入れ替えを行う仕組みになっています。
今回放出された備蓄米については、日本農業新聞の報道によると、第1弾では2023年産と2024年産のお米が対象となっており、第3弾では2023年産のみが放出されています。
つまり、今店頭に並んでいる備蓄米は1〜2年前に収穫された比較的新しいお米なのです。
農林水産省の定義では「新米」は収穫された年の12月31日までに精米・包装されたお米で、翌年の11月1日からは「古米」と呼ばれるようになります。
この定義によると、2023年産は古米に分類されますが、2024年産はまだ正式な古米にはなっていません。
備蓄米の生産地・銘柄は?
政府備蓄米は特定の銘柄(品種)に限定されているわけではありません。
例年潤沢な備蓄がみられる産地は北海道、東北地方、新潟県など日本のコメ生産量上位地域となっています。
日本農業新聞の分析によると、2025年3月の第1弾放出(15万トン)では、新潟県産が3万1761トンと最も多く全体の約2割を占め、次いで山形県、青森県と続きました。
産地品種銘柄別では山形産「はえぬき」が2万4849トンで最多、新潟産「こしいぶき」、青森産「まっしぐら」、宮城産「ひとめぼれ」、秋田産「あきたこまち」など、日本を代表する銘柄が並んでいます。
今回私が購入した『パールライスのお米』は「国内産複数原料米」となっており、複数の銘柄が混ざっています。
どの銘柄が何割含まれているかなどの詳細情報は公開されていませんが、上記の通り国産の安全なお米であることは間違いありません。
備蓄米の保管環境と安全性
備蓄米と聞くと「長期保存されていて安全なのか?」「品質が劣化しているのでは?」と心配する方もいるかもしれませんが、政府備蓄米は徹底した品質管理が行われています。
政府備蓄米の保管環境
政府備蓄米の保管状況は一般家庭や民間業者の保存状態とは比較にならないほど厳格です。
政府備蓄米は温度や湿度が厳密に管理された専用の低温倉庫(JAなどの政府寄託倉庫)で保管され、品質の劣化を防ぐための対策が施されています。
現在の米価高騰の背景には「投機目的で買い占めている業者がいる」という農水省の指摘もありますが、仮にそのような業者が存在するとすれば彼らの保存環境は政府備蓄米のような厳密な管理がされているとは考えにくいでしょう。
また、フリマサイトなどで個人が販売しているお米も保存状態が不明で品質保証がないケースがほとんどです。
安全性の確保
備蓄米は単に保管されているだけではなく定期的に品質検査が行われています。
放出に際しても改めて検査され、食品衛生法に基づく安全基準をクリアしたもののみが市場に出回ります。
全農パールライス株式会社とは?
『パールライスのお米』を販売する「全農パールライス株式会社」はJAグループの米穀卸で、国産米100%へのこだわりと厳格な品質管理が特徴です。
政府備蓄米の放出先として、今回の『パールライスのお米』を店頭に並べています。
パールライスという名前は、「精米工場で丁寧に精米し、つややかな光沢を放つ真珠のようなお米」という意味で、JAグループが取り扱うお米のブランド名として使われています。
つまり、全農パールライスという会社が扱うお米全般に付けられた愛称であり、特定の米の品種名ではありません。
実食レビュー:『パールライスのお米』を食べてみた
米の粒の見た目は多少バラつきがありますが、前回レビューした台湾産米(むすびの郷)よりは質が良く感じられます。

ニオイも多少のぬか臭さはあるものの普通の国産米とほぼ同じで違和感はありません。
この『パールライスのお米』は無洗米ではなく通常の精米なので、いつものようにしっかり洗米して30分ほど浸水させてから鍋で炊飯しました。
(洗米は最初の水をすぐに捨てるのがポイント。浸水はお米に水分を均等に吸収させ、ふっくら炊き上がるために重要)
台湾産米と比べると、米の粒の輪郭がはっきりしていてツヤもまずまず。見た目は普通の国産米と遜色ありません。
美味しそうなお米の香りもしっかり感じられました。
肝心の味に関しても普通の国産米で、旨味も甘みも合格ライン。
家族からは「いつもの金芽米よりも若干甘みや味が薄い気がする」との声もありましたが、私自身はそこまで大きな差は感じませんでした。

ネット上では「まずい」という意見もありましたが、私はそれなりに美味しい国産米だと思いました。
さいごに
最近は台湾産のジャポニカ米やアメリカ産のカルローズ米なども見かけるようになりましたが、関税の影響もあって国産米とそこまで大きな価格差はありません。
むしろ今回の『パールライスのお米』は台湾産米よりも安いくらいでした。
1kgあたり約700円という値段は以前と比べるとはるかに高価ですが、現在の異常な価格高騰が続いている状況では国産米をこの値段で食べられるのはありがたい。
政府にはどんどん備蓄米を放出してもらって、早く以前のように美味しい国産米を安く食べられるようになることを願うばかりです。
皆さんも近所のスーパーやドラッグストアで『パールライスのお米』を見かけたら、ぜひ試してみてください。私はコスパと品質のバランスが取れたおすすめのお米だと思います。

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参考にさせていただいた記事・サイト