気がつけば12月。ラニーニャ現象の影響で寒い冬が予想される今年は鍋料理の出番も多くなりそうです。
我が家では冬になると週に2回は鍋料理を食べます。
食材費はそこそこで栄養価も高く、なにより簡単で美味しい!
具材は手頃な価格で手に入りやすく下処理も簡単な鶏肉や豚肉が中心で、なかなか魚介類まで手が出ません。
料理番組や旅番組で紹介される豪華な魚介の鍋を見るたびに、いつか食べてみたいなと思うのですが…。
みもすそ川別館 天然真ふくしゃぶ鍋
特に『ふぐしゃぶ』や『ふぐちり』といった【ふぐ】を使った鍋料理は美味しそうだなあと思いながら見ています。
ふぐの白身は高たんぱく低脂肪で弾力のある食感、淡泊な味、臭みの少なさなどが特徴。
漢書・揚雄伝に「大味必淡」 という言葉がありますが、この言葉は間違いではないと教えてくれる魚だと思います。
本当においしい食べ物は味が淡白であることから、淡白なものこそ真にすぐれており、好まれるものだということ。濃厚な味は一時的に好まれても長続きはせず、淡白な味はいつまでも好まれるという意。
大味必淡(たいみひったん)の意味・使い方|goo辞書
ただ、ふぐは高級食材のひとつで良いものは値段もかなり高いし、そもそも近くのスーパーとかで質の良いものが販売されていることはほとんどありません。
そんなある日、お歳暮を探してネットサーフィンしている時に偶然見つけたのが【みもすそ川別館 天然真ふくしゃぶ鍋】という商品でした。
進物用なので5000円程度と結構高かったのですが、1年間頑張った自分に対してのご褒美ということで奮発しました!
山口県の老舗旅館「みもすそ川別館」
『みもすそ川別館』は山口県下関市みもすそ川町にある、昭和22年創業の老舗旅館。
全ての客室から関門橋が一望できることが特徴で、海底岩盤から湧き出したミネラル豊富な「水底の湯」を引き込んだ浴場は、保湿性・保温性に優れていると評判です。
さらに、ふぐやうに、くじらなど、下関の豊富な海の幸や山の幸をこだわりの調理法で提供している点も好評です。
これらの特徴が評価されGoogleのクチコミでは平均☆4以上、3つ星ホテル判定となっています。
なぜ”ふぐ”ではなく”ふく”なのか
気になったのは商品名や旅館の公式サイトに表記されている“ふく”。ふぐではなく濁点のないふくとなっています。
最初は表記ミスなのかと思いましたが、調べてみると下関の人たちは皆ふぐをふくと呼ぶんだそう。
なぜ下関ではふぐではなくふくと呼ぶのかについてですが、下関市の公式サイトには以下のようなことが書かれていました。
- 韓国語ではふぐのことを”ポゴ”と発音する。室町時代以前には日本には”ポ”という半濁音がなかったので”ホク”となり、それがいつしか”ふく”となったという韓国語起源説。
- 平安時代中期につくられた辞書「和名類聚抄」に布久という記述がある。
- その他、膨れる、ふくべ(ひょうたん)に似ている、海底の餌を拭いて探す、など語源的な意味(ふく)や幸福につながる意味(福→ふく)で呼んでいるなど。
どれが正しいのかは分かりませんが、いずれにしても下関ではふぐのことをふくと呼んでいるみたいです。
下関のふぐと「河豚食禁止の令」
注文からしばらく経ち、ついに我が家にふくしゃぶが到着!
セットにはふぐが二皿とふくスープ、オリジナルポン酢、もみじおろしが入っています。
ふむふむ…「河豚食禁止の令」ってなんぞ!?
日本でふぐは縄文時代から食べられていましたが、豊臣秀吉の治世に、ふぐ毒による中毒死が続出したため「河豚食禁止令」が出されたと言われています。
解禁されたのは初代内閣総理大臣・伊藤博文公が下関に訪問したのがきっかけです。
宿泊所であった春帆楼が、魚が取れず打ち首覚悟で禁制だったふぐを御膳に出しました。
出されたふぐを食べた伊藤博文公は、感嘆し、明治21年(1888年)に山口県令(知事)に働きかけてふく食が解禁されました。
ふぐにこんな歴史があったとは…。勉強になりますね。
ふくしゃぶセットに使われている「真ふぐ」とは
次は、このふくしゃぶセットに使われている『真ふぐ』というふぐについて。
私が知っているふぐの種類は”ふぐの王様”と称される「とらふぐ」や魚釣り時のエサ取り「くさふぐ」などで、「真ふぐ」というのは初めて聞く名前でした。
ふぐ試験の審査も務めるプロ料理人Aさんに真ふぐについて聞いてみると、とらふぐほどではないが非常に美味しいふぐで、ものによってはとらふぐよりも味が良いという人もいるくらいだそうです。
Aさん所有の山口県食品衛生協会が出版した「ふぐ:正しい知識の普及啓蒙と”ふぐ中毒防止”のために」という本を見せてもらいました。
この本によると、真ふぐはとらふぐより少し小さい中型種で毒性はとらふぐなどと比べると強めとのこと。食用可能な部位は肉と精巣のみで、それ以外の部位は有毒だそうです。
同じふぐでも種類によって毒のある部位や毒の強さが違うというのが分かり興味深かったです。サバフグのように全く毒がない種類もいるんですね。
具材たっぷりのふくしゃぶをつくる
長くなりましたが、「みもすそ川別館」や「真ふぐ」の説明もあらかた終わったので食レポといきます!
ふぐしゃぶに使う鍋はニトリのIH対応卓上鍋。この鍋は炊飯やホットケーキをつくれる便利鍋です。
いつもは一人用鍋を使っていますが、今回は余裕をもって二人用をセレクトしました。
まずはセットに付属されている「ふくスープ」と水を約500mlをお鍋に投入。
スープだけ飲んでみましたが、ふぐのだしっぽい味がするだけで特に味はしませんでした。
小冊子の「お召し上がり方」には”ふくスープをひと煮立ちさせてから、真ふくを軽くスープにくぐらせてください。お好みでもみじおろしや刻み葱を加えたぽん酢でお召し上がりください。”としか書かれていません。
ふぐの身だけを楽しむのが基本?
でも、絶対ふぐのだしがいっぱい出たスープで野菜や豆腐なんかを食べれば美味しいはずなので、邪道かもしれないけれどいろいろ入れてみました。
大根もおろしてふくしゃぶの準備完了!
ふぐの身のアップ画像。白く透き通っていてすごくきれいです。
このきれいな身をしゃぶしゃぶ…
大根おろしとネギを入れたぽん酢につけて…
うまい!!
コリコリした弾力のある食感で臭みはほとんどなし。でも全く味がないわけではなくしっかりとした旨味を感じました。
ふぐとぽん酢の相性がこれほど良いとは…。
ただ、個人的には付属のもみじおろしより普通の大根おろしのほうが合うと思いました。もみじおろしは少し苦みがあるんで、ふぐと合わせると若干雑味を感じる。
ふぐはどの具材とも相性も抜群。白菜やえのき、豆腐など多分合わない食材はないのでは。
その中でも入れてよかったと思ったのが「葛切り」。
葛粉を水で溶かし、型に入れてから加熱し板状に固めたものをうどんのように細長く切った麺状の食べ物。
葛粉は供給量が少ないため、葛ではなくジャガイモ澱粉などを原料にして葛切りを模した食材が一般に使われるようになっている。
出典:Wikipedia
最近葛切りの美味しさを知って鍋料理などによく入れるようになったのですが、ふぐしゃぶとの相性も抜群でした。
家でふぐしゃぶやふぐちりをつくる時にはぜひ入れてみてください。
締めの「ふくしゃぶ雑炊」をつくる
ふぐしゃぶを食べ終えた後は締めの『雑炊』です。
残りスープに日本酒や塩、醤油を入れて味をととのえ、
水洗いしてぬめりを取ったご飯を加え、
スープが再び沸騰したら溶き卵を流し入れて火を止め、約30秒ほど蒸らせば…
みもすそ川別館ふくしゃぶ雑炊の完成です!
雑炊を美味しくつくるポイントはふぐの味を活かすためにもやや薄めに味をつけ、煮過ぎないことかなと。
まとめ
今回取り寄せた【みもすそ川別館 天然真ふくしゃぶ鍋】。
高級魚であるふぐの進物用ということで二人前で5000円程度とまあまあの値段でしたが、美味しいふぐしゃぶや雑炊をたらふく食べられて非常に満足しています。
ただし、温めるだけでパッと食べられるものではなく、具材を切ったり雑炊をつくるなら自分で味をととのえたりと、美味しく食べるためには手間や若干の料理センスが必要になるかも。
とりあえず個人的には高評価です。
値段が値段なんで頻繁には食べられませんが、来年も1年頑張ったご褒美に注文しようかと思っています。
#みもすそ川別館 #ふくしゃぶ