ロシアによるウクライナ侵攻などの影響で、原油や穀物などの価格が上昇しています。それに伴い、身の回りのあらゆる物やサービスの価格も上がっています。
給料はそれほど変わらないのに、物価だけがどんどん上がる恐ろしい世の中になってしまいました。
この物価高に対応するため、最近真剣に勉強を始めたのが「株式投資」です。
私は、配当利回りが高く、株主優待として自社商品が提供される「雪国まいたけ」と「ホクト」の2社に注目しました。両者ともきのこの生産で国内トップシェアを誇る企業です。
どちらの会社の株を購入するか悩んだ末、最終的にきのこの味が美味しい方を選ぶことにしました。
雪国まいたけとホクトの舞茸を食べ比べ
食べ比べるきのこは【舞茸】。
主に東北地方の深山の老木の根ぎわに生えるサルノコシカケ科の大型きのこ。100枚以上の扇形の傘が重なり合い、20キロや30キロの大きさに育つものもある。
味や香り、食感が良く、炒め物・鍋料理・天ぷら・煮物など、様々な料理に利用される。
名前の由来は「"幻のきのこ"と呼ばれるほど希少価値の高かった舞茸を見つけた人が舞い上がって喜んだから」や「舞茸の形が蝶が舞う姿に似ているから」など、諸説ある。
今までは、きのこを購入する際に生産メーカーを意識したことはなかったのですが、近くのスーパーで売られていた舞茸はほとんどホクトのものでした。
ホクトの市場シェアの高さに驚かされましたね。
雪国まいたけは会社名に"まいたけ"という言葉が入ってるんだからもっと頑張らないといけませんね!
ちなみに、雪国まいたけの【極(きわみ)】は、イオン系のスーパーで販売されているのを見かけました。
舞茸の天ぷらで食べ比べ
見た目を比べると、左の雪国まいたけの舞茸は傘が大きく、一方で右のホクトの舞茸は密な印象を受けました。
この二種類の舞茸の味の違いを確かめるため、それぞれを天ぷらにして食べ比べてみることに。
天ぷらの衣は、小麦粉をベースに片栗粉を少々加えて作ります。
水は冷やした炭酸水を使用し、あまりかき混ぜないようにすることで、パリッとサクッとした食感に仕上がります。
舞茸に衣を適度につけたら、180度前後に熱した油の中に投入。
泡と音が変わってきたら、揚げ上がりのサインです。
雪国まいたけの天ぷらが揚がりました。
見た目からして美味しそうです!食感や風味が楽しみですね。
その後は、ひたすら揚げる作業の繰り返し。
雪国まいたけの天ぷらが全て揚がったら、続いてホクトの舞茸も同様に揚げていきます。
数十分後、用意した全ての舞茸の天ぷらが完成しました。
見た目も味も食感も雪国まいたけの極に軍配
揚げ立ての最高の状態で味見をしていたので、ここでもう結論を出したいと思います。
舞茸の天ぷらに関しては、雪国まいたけの「極」が圧倒的に美味しい!
ホクトファンの方には失礼かもしれませんが、個人的な意見としては、見た目、味、食感の全ての面において、雪国まいたけが圧倒的に優れていました。
同じ舞茸だとは思えないほどの違いがあります。
今回は3人で食べ比べをしてみたのですが、全員が雪国まいたけを支持する結果となりました。
雪国まいたけの「極」は、傘が大きく見た目が立派であるだけでなく、味も水っぽさがなく濃厚。さらに、食感はシャキシャキというかコリコリというか、とにかくしっかりしています。
天つゆ、塩、マキシマムの3種類のつけダレで食べてみたところ、特に塩とマキシマムを使った場合には、雪国まいたけ「極」の美味しさが際立っていました。
ホクトの舞茸には産地の違う商品もあるので、もしかしたら産地によって味などが異なるのかもしれないと考え、翌日別のタイプを購入してみました。
ついでに雪国まいたけ極も追い買い。
ホクトの別タイプの舞茸も同じように天ぷらにして食べ比べてみましたが、やはり感想は変わりませんでした。
ホクトの舞茸ももちろん美味しいのは間違いありませんが、雪国まいたけの「極」と比較すると、味や食感の面で数段劣るように感じました。
フライパンを使った舞茸の天ぷら風の作り方
天ぷら用の鍋がない場合や、大量の油を使うのがもったいないと感じる方には、フライパンで作れる天ぷら風の調理法がおすすめです。
以前、雪国まいたけ公式がツイッター上で、フライパンを使った簡単な舞茸の天ぷら風レシピを公開していました。
マヨネーズ大1に冷水大3を少しずつ加え混ぜ、醤油小1、薄力粉大2、片栗粉大1を混ぜて衣を作る。
雪国まいたけ極2パックに薄力粉をまぶし、衣を絡めて中火で熱した油大2でカリッと焼き塩と黒胡椒を混ぜて添える。
まいたけ2パックが秒で消えてく…
大さじ2の油で揚げずに簡単!衣カリッカリな雪国まいたけ極の天ぷらはおかわり不可避な背徳の美味しさ。衣に醤油少し混ぜると美味しいです。
マヨネーズ大1に冷水大3を少しずつ加え混ぜ、醤油小1、薄力粉大2、片栗粉大1を混ぜて衣を作る。
続く↓ pic.twitter.com/2ahJKijgeg
— 雪国まいたけ【公式】 (@yukiguni_co) November 17, 2021
舞茸の品質の差は歴史の長さ?
雪国まいたけとホクトの舞茸は同じ舞茸でありながら、見た目や味に大きな違いがあります。
この違いについて調べてみたところ、雪国まいたけは1983年に日本で初めて舞茸の人工栽培による大量生産技術の開発に成功し、生産・販売を開始したのだそうです。
この革新的な技術により、雪国まいたけは舞茸市場で当時独占的なシェアを獲得していました。
一方、ホクトが舞茸の生産・販売を開始したのは2000年頃。
それまでは、舞茸は雪国まいたけ、ブナシメジやエリンギはホクトという暗黙の了解のもと、両社は棲み分けを図っていたと言われています。
しかし、ホクトが舞茸市場に参入したことで、この均衡が崩れました。ホクトの参入は後に"上信越キノコ戦争"と呼ばれる全面戦争の火蓋を切る出来事だったのです。
➡ 風雲!きのこ三国志~夢のキノコで覇権を握れ~|ガイアの夜明け
この消耗戦で得をした会社はないように思えますが、それはさておき、雪国まいたけとホクトの舞茸の品質の差は、やはり歴史の長さに起因しているのかもしれません。
雪国まいたけは、ホクトが生産を始めるよりも何十年も前から品質レベルを高めていたわけですから、その差はなかなか縮まらないと思います。
逆に、シメジやエリンギに関しては、ホクトの方が先駆者であるため、その分のアドバンテージがあるかもしれません。ホクトは、これらのキノコの品質向上に長年取り組んできたことで、市場での優位性を維持しているのでしょう。
マーケティング下手な雪国まいたけは伸びしろだらけ
ここで疑問に思ったのが、舞茸の味に関してはホクトよりも美味しい雪国まいたけの株価がなぜ下がり続けているのかについてです。
舞茸極の値段も味を考慮すれば全然高くないと思うのですが、近くのお店の多くはホクトの舞茸を取り扱っています。スーパーのバイヤーはもう少し味をチェックすべきだと感じます。
おそらくその大きな理由は、ホクトのマーケティングやブランディングの上手さにあるのではないでしょうか。
公式サイトやオンラインショップを見ればその差は歴然です。
ホクトのサイトは洗練されていて、きれいで見やすいのに対して、雪国まいたけのサイトは画像も古ぼけていて見にくいのが現状です。
今は多くの人がスマホを利用してサイトを閲覧するにもかかわらず、雪国まいたけの公式サイトはスマホ対応すらしておらず、オンラインショップもとりあえず対応しただけ(画像などが最適化されていない)という印象を受けます。一方で、リクルートサイトなど一部のページはなぜかきれいに整っているのが不思議です。
サプリメントなどの販売に関しては、薬機法の関係上いろいろとセンシティブな部分があるのは理解できますが、資料などを見やすく表示し、雰囲気ではなくデータや根拠で消費者に納得して購入してもらえるようにしないと、せっかくの良い商品も売れないのではないでしょうか。
一方で、改善できる点は山ほどあるので、ひとつずつ着実に改善を重ねていけば、さらに優れた会社になっていくことができるはずです。
商品の品質は抜群ですからね。伸びしろはたくさんあると思います。
この記事を書いてから数か月後に雪国まいたけの公式サイトがきれいになってました。
商品の細かい説明なんかも追加されていて良い感じだと思います。
ということで、いろいろと考えた結果、雪国まいたけの株を購入しました。
購入時は810円程度でしたが、買ってからなぜか株価が上向き始め、現在は900円ちょっとの価格になっています。
配当金や優待がなくならない限りは売るつもりはないので、短期的な株価の変動に一喜一憂はしませんが、できればこのまま上昇傾向が続いてほしいと願っています。
大平きのこ研究所の高級黒舞茸
最後に、雪国まいたけの創業者であり、舞茸業界のパイオニアでもある大平喜信(おおだいら よしのぶ)氏が率いる「大平きのこ研究所」の舞茸についても少し触れたいと思います。
大平氏は新潟の貧しい農家に生まれ中卒で働きに出されましたが、誰も実現できなかった幻のきのこを量産し大儲けしようと決意し、創業した雪国まいたけを一代できのこ業界大手まで育て上げた傑物です。
1948年、大平喜信は新潟県六日町で貧しい農家の長男として生まれました。少年時代は、学校が終わるとすぐに農作業を手伝う日々で、遊んだ記憶がほとんどなかったそうです。
子供の頃にどれほど貧しかったかということについて、「愛しの魚肉ソーセージ」のエピソードがあります。当時、一本30円ほどの魚肉ソーセージを友達がパクパク食べているのを見つめていた喜信少年。でも、自分には買うお金がない。
「いつか、死ぬほど魚肉ソーセージを食べてやる!」。これが幼い頃の夢でした。
中学卒業後15歳で上京し、横浜の木工製作所に就職。その後新潟に帰郷して、地元の機械工場に勤務。次々と収益アップのための提案をして会社に貢献したにも関わらず、待遇面で自分よりも学歴の高い高卒の社員が優遇される理不尽さに耐え切れず、退社しました。…
いろいろなことが複雑に絡み合った結果、大平氏は育て上げた会社を外資の投資ファンドであるベインキャピタルに乗っ取られてしまいました。
これが雪国まいたけが一時上場廃止になった理由です(その後、2020年に再上場しています)。
しかし、会社を追い出された後も大平氏のきのこに対する情熱は消えることなく、株式会社大平きのこ研究所を設立し、息子さんと共に国内外でより良いきのこの開発・生産を行っています。
天然舞茸のクロフを目指した大黒舞茸「真」
大平きのこ研究所の目玉商品は高級"黒"舞茸【大黒舞茸「真」】です。
天然の舞茸はシロフ(白)、トラフ(茶)、クロフ(黒)に分けられ、クロフが最高ランクで希少性が高く、市場価格も最高値で取引されております。
クロフ舞茸は身が締まり食感が増し、香りが強い特徴があります。
この最高ランクのクロフ舞茸を追及し、大平きのこ研究所の茸士が大黒舞茸「真」を創りあげました。
ニュースによると、この黒舞茸の売上はかなり順調で、高級スーパーや高級飲食店などを中心に需要が伸びているそうです。
大手以外の企業が安売りをしていては、ただただ消耗するだけで商売になりません。新規性があったり品質に自信があるのなら、価値を分かってくれる人に高く売るほうが賢明な選択だと言えるでしょう。
これは是非食べてみなければと思い、近くのお店を回ってみましたが、残念ながら見つけることができず。
そこで、大平きのこ研究所のオンラインショップでネット購入することにしました。
私が確認した限りでは、商品ラインナップは自宅・贈答用の700グラムと業務用の1キロ、そして乾燥ものの3種類でした。
自宅・贈答用は立派な箱に入っている分、値段が高めに設定されているようです。もしかしたら、見た目も良いものが選ばれているのかもしれません。
今回は自分で食べるだけなので、業務用の1キロを注文することにしました。
舞茸本体の値段は思っていたよりもずっと安かったのですが、冷蔵便での配送ということもあって、送料込みで3000円以上かかりました。
黒くて大きいインパクト抜群の見た目
「茸士がより天然に近づけた大株へのこだわり・大黒舞茸「真」(OOGUROMAITAKE SHIN)」
なんだかとてもかっこいいキャッチコピーですね。
実際に届いた商品を開封してみると…
でかい!黒い!
まるで舞茸のバケモノのような迫力のある姿に驚かされました(笑)
見た目の印象としては、雪国まいたけの「極」タイプというよりは、ホクトの舞茸を物凄く立派にしたような感じでした。
そして、開けた瞬間に爽やかな香りが部屋中に広がりました。
大黒舞茸を食べた感想
さて、肝心の味ですが、他の会社の舞茸と同じように天ぷらにして食べてみたところ、味の濃さや旨味は最強クラスでした。雪国まいたけの「極」よりもさらに上の味わいです。
ただし、歯応えや食感に関しては、私個人としては雪国まいたけの「極」の方が好みでした。もちろん、ホクトの舞茸よりは数段上の食感ではありますが。
それから、この大黒舞茸は黒い色をしているだけあって、健康に良い成分も豊富に含まれているそうです。
大黒舞茸を少し焼いてからお吸い物に入れてみたところ、すぐにスープが黒く変色しました。
実はこの黒さの正体はポリフェノールだそうです。長い間、アクのようなものだと思っていましたが、抗酸化作用や動脈硬化予防に効果的なポリフェノールであるなら、きちんと摂取しないといけませんね。
ただし、料理を黒くしてしまう舞茸の特性は、料理人にとっては悩みの種となることも。
舞茸のWikipediaページにも、「煮物・吸い物や卵とじなどには、料理そのものの色に影響を与える(黒っぽい色になる)ことから、料理店では慎重に取り扱いが行われる。」と記載されていました。
雪国まいたけが先日発表した「新・白まいたけ」の自社菌開発・量産化成功のニュースは、この問題を解決する可能性を秘めています。
➡ 雪国まいたけ『新・白まいたけ』の自社菌開発・量産化に成功、8月より出荷開始(PDF)
新・白まいたけは、料理を黒くしないというメリットがあるだけでなく、雪国まいたけ極の菌をベースにすることで、栄養分や味、食感を継承した今までにない品種だそうです。
白は縁起の良い色として知られているので、日本料理にも重宝されそうですし、ホワイトソース系の洋風料理にも活用できる可能性が高いですね。
アンテナが高く、見た目や味にこだわりを持つ料理店からは、すぐに反応があるのではないでしょうか。
➡(当ブログの記事)【雪国まいたけ極白】料理が黒くならない舞茸!味も食感も素晴らしい
途中、雪国まいたけの白まいたけの話題に脱線してしまいましたが、大黒舞茸の品質の高さには本当に驚かされました。
味も非常に美味しく、見た目のインパクトも抜群なので、贈答品としてもおすすめできると思います。
ただし、通販で購入する場合は最小単位が700グラムからなので、少人数の家庭ではなかなか食べきるのが大変かもしれません。
私の場合は、半分くらいを両親や友人、親戚などにお裾分けしましたが、健康にも良くて珍しい食材なので、とても喜んでもらえました。
大黒舞茸を使っていろいろな料理を楽しんだ後、最後に作ったのはきのこご飯でした。
材料は大黒舞茸とホクトのシメジ、鶏もも肉、油揚げなどを使用しました。本当は三つ葉を加えたかったのですが、手に入らなかったのでネギで代用しました。
素材の味を存分に楽しみたいと思い、味付けを薄めに調整して炊き上げたところ、舞茸やシメジから良い味が出て、鶏肉や油揚げのコクとも上手く調和した、とても美味しいきのこご飯が完成しました。
まとめ
今回は、きのこ業界大手二社である雪国まいたけとホクトの舞茸、そして業界のパイオニアである大平さん作の大黒舞茸について書いてみました。
味比べの結果は以下の通りです。
- 雪国まいたけの極は味も食感も素晴らしく、ホクトの舞茸よりも優れていた。
- 大平さんの大黒舞茸は見た目のインパクトが凄く、味の濃さと旨味は最高クラスだった。ただし、食感は雪国まいたけの極の方が好み。
きのこは、安くて美味しくて健康にも良いという三拍子揃った食材です。
今後高確率で訪れるであろう食料危機に対しても強力な助けになるだろうし、代替タンパク質市場でも存在感を放つと思われます。
雪国まいたけやホクト、そして大平きのこ研究所等、きのこに対する知識やノウハウがある日本のきのこ会社には、今後も国内外で頑張ってもらいたいものですね。
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参考にさせていただいた記事・サイト